untitled (2026/2/23)

福岡の書店、本屋青旗での巡回展が始まった。
せっかくなので、設営を済ませた後の数日間、福岡に滞在した。
大人になってから仕事で福岡へ行くことは度々あったが、ひとりの自由時間があるのはひさびさだった。
昔住んでいた西区の方の街に行って、かつての通学路を歩いたり、当時毎日散歩していた公園に行ったりした。公園の中に海がある大好きな場所。
当時とほとんど変わらない景色のなかで、私は一瞬にして小学生のころのような軽やかな足取りになった。
週末によく父と行っていたホームセンターで、関東でもできる買いものをしたりした。

かつて、広すぎるあまり、店の奥のほうが廃屋のようになりかけていた大きな園芸屋が、リノベーションしてとても盛り上がっていて、店内をまっすぐ歩けないくらいに混雑していたことに驚いた。
放課後、愛犬ミルクの散歩中に、園芸好きの母に連れられてよく寄り道した場所。
天井の高い温室風のこの店の、くすんだ窓という窓から夕陽が射す時間。人気(ひとけ)はなく、さまざまな緑たちが薄橙色の光を受けていた。
母の物色を待つ間、私はミルクを抱っこしながら、花ではなく、色褪せて埃をかぶったカエルやハリネズミの置物(よく植木鉢の土のところにちょこんと置かれている、なんかちいさくてかわいいやつら)を見ていた。その当時の面影が一切ない店内の活気に、嬉しい反面、すこし寂しくなった。

君島大空さんの「世界はここで回るよ」のミュージックビデオは、この店の中で見ていた光のことを思い出しながら撮った。
机の上で回る妖精?天使?は、私が小学生のときにサンタさんからもらったもの。
もらってしばらくしてから、いつも行く園芸店に並んでいる置物だと気づいて、サンタさんはずいぶん近場でプレゼントの調達をするんだなと思った記憶がある。
この妖精?天使?は、今日も私の部屋の片隅に佇んでいる。

2026.2.23